スタンフォード監獄実験
先日NHKのBSで紹介されていた1971年フィリップ・ジンバルドーにより行われ、人が与えられ肩書きや地位により役割に合わせて行動する事を証明した。
当時の気質に固執した心理学に対し、状況の力により人間の良心や倫理観が容易に変質することを示した実験である。募集された普通の大学生が途中離脱も可能な条件の下、11人の看守役と10人の囚人役に分かれて、大学の模擬監獄で夫々の役を演じた。
現在より人権が配慮されない囚人への処遇であったが、暴力を加えない状況でも数日のうちに看守役は精神的虐待を加えるようになり、囚人役は2人が精神的に継続困難で離脱したが、残りは抵抗意欲を失い、言われるまま仲間を罵るようになる。
実際に監獄でカウンセリングを行っている牧師に検証してもらうと、監獄の囚人の初期症状と全く同じで、実験の行き過ぎを非難された。
ジンバルドーも実験の成果に取り付かれ続行したために、牧師が危険な状況を家族・大学へ連絡し6日目に中止されたが、看守役は「話が違う」と続行を希望した。
後の会見で、ジンバルドー自身が状況に飲まれ、危険な状態と認識できなくなっていたと説明した。
湾岸戦争の捕虜や9.11後のグアンタナモ収容所で、看守は虐待することを軍上層部は想定していたはずたが、看守個人が処罰された。
社会生活に組織、団体は必要だが、その潜在的危険性を認識する必要を再認識した実験である。