ダイエット・健康法

カルト宗教から詐欺まで

■ 新聞の広告欄を見ただけでも世の中じつに様々な

ダイエット法・健康法があふれていますし、次から次へと生まれています。

職業柄ときどき質問を受けるのですが、議論の対象にならない宗教と考えたほうがよいもの、
うんざりするほどアホらしいものから、よくできた詐欺商法など色々です。

いくつかのまともなものを除くと、二つの種類があります。 

■ 一つは根拠も示されておらず好意的に考えてもどうしても説明がつかないもの
(お嬢さんたちの言葉でいえば私にはアリエナイもの)ですが、
信じて効果があると言う人がいる以上、これはもうカルト宗教の域ですから反論は出来ません。

■ もう一つが厄介なのですが、
科学的な言葉や認められている理論の名前や現象を使って説明されたり
(科学的な論理と実証にはなっていないのですが)、
実際に医療で使われる薬や器具が使用されるがその行為には根拠がないものなどです。 
確実なのはその商売で儲けている人がいることです。

皆さんは今までいくつの ダイエット法 を覚えていますか?

● 前者の例は、りんごダイエットなど単一のものを食べてやせたり、脂肪をもみだしたり、

スパイラルテープや手首のリング、ついには尿を飲んだりとその発想力には感心します。
しかしこれらは皆さんが通常あたりまえと納得しているエネルギー保存の法則

(高校で学びますが、あらためて言われなくても何かの形で出て行かなければ、

エネルギーは減少したり消えたりもしない、つまり体重の増減は

食べたカロリーと使ったカロリーの差でしかないというあたりまえのこと)

にも明らかに反しています、でもこれを信じるというのは、カルト宗教としか思えないのです。

これに理論的反証をしても意味はないでしょう。

● 次の例は血液型性格占いに代表されるものです。 

血液型というのは、確かに医学、科学の産物ですが

それと性格の関連は百年も前に否定されていますし、

性格も含めた遺伝が何百万という遺伝子で規定されるのは皆さんもご存知のことでしょう。

その何百万のうちのわずか一握りの遺伝子で決定される血液型ですが

その数パターンで性格を判定するというのはいかに無謀なことか分かると思います。

このように科学的な言葉や事象を使いながらも言っていることに

科学的根拠のないものが実に巧妙で厄介なのです。   

● このようなものに宿便、腸管洗浄などのダイエットやマイナスイオン、水素

活性水、イオン水、トルマリン、血液浄化、悪い血、体質、磁気、電界などの

言葉を巧みに使って宣伝されている健康法や薬品、健康器具があります。

これと似たものに、テレビで煽られるココアに黄な粉、ワインに酢となんでもありの世界ですが、

限られた条件の下での実験やデータで一定の作用はあるのですが、

実際に人間で使用可能な量での効果の実証はないものばかりです。 

<これだけあると、結局バランスよく食べろということでしょうが……>

● つまり一定の作用があるのですから体には良いと言えるのかもしれませんが、

たとえば効果が出るためには100の作用が必要なのに
一生続けても1の作用しかないものを有効と言うのでしょうか。

やっぱり頭を使わないと!…認知症防止にもなるんですが

★ なぜこういったことが広く市民権を得ているのでしょうか。 

まず第1に残念なことに現在の医学では容易に治せない病気や傷害があるためでしょう。
その証拠に不妊治療が体外受精からクローン人間のレベルまで進むと、

根拠のない俗説や方法が入り込む余地がないため余り耳にしなくなりました。 

★ 第2に減量や健康を努力せずに薬や食品・器具で楽に簡単に達成したいという、

わがままで欲張りな願望が詐欺商法に入り込む隙を与えるのでしょうでしょう。

<体のことに限りませんが……>

★ 第3に日本人は自分の頭で考えて理解し判断・行動するということが少なく、

学校や役所を中心に決まった事だからするが、

何故決まったのか、変えられないのか考えない事が多いようです。 

最近でもノーベル賞受賞者が2人出たように、科学的思考が劣ることもないはずです。

自分の頭で判断し行動しない指示待ち族が増えた、

といわれるように教育の問題かもしれません。 

★ ですから少なくとも自分の健康に関しては、

言われたことを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で

根拠のあることか本当に必要なものかを判断しましょう。

認知症の予防も薬ではなく、頭を使うことです。

2002年10月01日